ビニール袋を刺しても水が漏れないのはなぜ? ── 混同されがちな2つの理由

【衝撃】ビニール袋を刺しても水が漏れない理由は2つあった
💡 答え合わせ / 図版:タネアカシ編集部

⚡ 結論だけ先に

  • 「刺しても漏れない」には、まったく別の2つの現象があります。ここが混同されているせいで、ネットの説明は噛み合っていません。
  • ストローを横から刺す場合空気の話。先端が水面より上にあると、入ってくる空気がないので水も出られません。
  • 鉛筆を刺す場合素材の話。ポリエチレンはよく伸びるので、破れずに伸びて鉛筆に張り付き、すき間ができません。

水を入れたビニール袋に、何かを刺しても漏れない。理科の実験でおなじみですが、刺すものによって理由がぜんぜん違うことは、あまり知られていません。いま2万5000件以上の反応を集めている投稿から始めます。

まず答え:ストローの場合は「空気」

自衛隊東京地方協力本部の公式アカウントが答えを書いています。ポイントは「空気」。ストローの先端が水面より上にあると、水はほとんど出てきません。

理屈はこうです。袋から水が出ていくには、その体積のぶんだけ空気が入ってこなければなりません。ところがストローの先端が水面より上にあると、そこから入るのは空気であって、水は押し出されない。出口が空気の通り道になってしまうので、水は動けなくなります。

💧 なぜ水が出られないのか

  • STEP 1袋は密閉されているストローを刺した穴以外に、外とつながる場所がない。
  • STEP 2水が出るには空気が要る出た水の体積ぶん、代わりに空気が入らないといけない。
  • STEP 3先端が水面より上ストローから入るのは空気だけ。水を押し出す力が生まれない。
  • STEP 4結果水はストローの高さで止まり、それ以上出てこない。

図の見方: 逆に言えば、ストローの先端を水面より下げれば水は出てきます。袋を傾けても同じです。「絶対に漏れない魔法」ではなく、条件がそろっているときだけ止まっている状態です。

ここが1つ目の「へぇ」です。この現象に、ビニール袋であることはほとんど関係ありません。ペットボトルでも空き缶でも、密閉されていれば同じことが起きます。素材の話ではなく、空気の話だからです。

ところが、鉛筆だと理由が変わる

同じ実験でも鉛筆を刺すバージョンがあります。こちらは袋を貫通させ、先端が反対側から出ているのに漏れません。先ほどの「空気」では説明がつきません。

🎥 関連動画:鉛筆を刺す実験

出典:りーぶるサッカー部/YouTube。 サムネイルをクリックすると再生します(クリックするまで動画は読み込みません)。

こちらの答えは素材の性質です。ポリ袋の材料であるポリエチレンは、内部の高分子の鎖が動きやすく、よく伸びるプラスチックです。とがったものを押しつけると、パリッと割れるのではなく、伸びて逃げる。

その結果、穴のふちが鉛筆の外周にぴったり張り付きます。すき間ができないので、水の逃げ道がない。ガラスや薄い金属だと同じことは起きません。「柔らかくて伸びる」という、一見すると弱点に見える性質が、ここでは栓の役目をしています。

🤔 混同されている2つの現象

思い込み刺しても漏れないのは、どちらも同じ理由
実際ストローは「空気」、鉛筆は「素材」。まったく別の話が同じ見出しで語られています
思い込みビニール袋が特別に丈夫だから漏れない
実際丈夫だからではなくよく伸びるからです。破れずに変形して密着します
思い込み刺したままなら、ずっと漏れない
実際鉛筆を抜くと一気に漏れます。栓をしているのは鉛筆そのものです

図の見方: 自由研究でやるなら、ストロー版と鉛筆版を両方試して「理由が違う」ところまで書くと一段深くなります。ここまでまとめている記事はほとんどありません。

同じ性質が、災害のときに効いてくる

「よく伸びて、破れにくい」というポリエチレンの性質は、遊びの実験だけの話ではありません。

1万8000件以上に届いたメーカー公式の投稿です。袋ごと湯せんして米を炊くという方法で、鍋を汚さず、少ない水で調理できます。破れにくく、熱い湯の中で形が保てるからこそ成立する使い方です。

警視庁の災害対策課も、チャック付きポリ袋を防災用品として挙げています。水を運ぶ、濡れた物を入れる、空気を抜いて圧縮する ── 「伸びて、破れず、密着する」という一つの性質が、そのまま用途の広さになっているわけです。

ただし「同じ素材だから同じ性能」ではない

この注意喚起がいちばん実用的です。パッケージの材質表示が同じ「高密度ポリエチレン」でも、家庭用は耐熱、業務用は非耐熱という具合に仕様が分かれています。素材名は性能の保証ではありません。湯せんに使うなら、メーカーが可としている袋を選んでください。

ご注意: ポリ袋での湯せん調理は、メーカーが用途として認めている製品でのみ行ってください。袋が鍋肌に直接触れると溶けることがあります。また本文の「ポリエチレンが伸びて密着する」というしくみの説明は、素材の一般的な性質(高分子鎖が動きやすく延性が高い)から当編集部が整理したもので、個別の製品について特定の実験結果を示したものではありません。

この実験、知っていましたか?

よくある質問

ビニール袋にストローを刺しても水が漏れないのはなぜですか?

ストローの先端が水面より上にあると、袋の中に空気が入りません。水が出ていくには、その分だけ空気が入ってこないといけないので、水は出られなくなります。自衛隊東京地方協力本部の公式アカウントも、ポイントは「空気」だと説明しています。

鉛筆を刺しても漏れないのは同じ理由ですか?

違います。鉛筆の場合は素材の性質です。ポリエチレンは高分子の鎖が動きやすく、よく伸びる素材なので、刺されたときに破れずに伸びて変形し、鉛筆の外周にぴったり張り付きます。すき間ができないので漏れません。

ポリ袋は湯せん調理に使えますか?

袋によります。アイラップ公式は「高密度ポリエチレンだから耐熱性があるわけではありません。表示される材質が同じでも用途によって仕様は異なります」と注意を呼びかけています。同じ素材名でも同じ性能とは限りません。

まとめ

「刺しても漏れない」は1つの手品ではなく、2つの別の現象でした。ストローは空気、鉛筆は素材。どちらも正しいのに、混ぜて説明されるから分かりにくくなっていたわけです。

そして鉛筆を刺しても漏れない理由が、そのまま非常時に米を炊ける理由でもあります。夏休みの自由研究で試すなら、2つを両方やって「理由が違う」ところまで書くと、それだけで他の子と差がつきます。

📌 出典:自衛隊東京地方協力本部・アイラップ・警視庁警備部災害対策課の各公式アカウントの公開投稿、 ポリエチレンの物性についての各解説資料。整理と説明はタネアカシ編集部によるものです。

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