退職代行を使われたら、会社は拒否できるのか

【実は】退職代行の申し出、会社は拒否できない理由
💡 答え合わせ / 図版:タネアカシ編集部

⚡ 結論だけ先に

  • 退職代行を使われても、退職の申し出そのものを会社は拒否できない(民法627条1項)
  • 根拠は「退職の自由」。期間の定めのない雇用は、申し出から2週間で契約が終了する
  • ただし代行業者が未払い賃金の交渉などに踏み込むと、弁護士法72条の非弁行為に触れることがある

退職代行サービスの利用が増え、SNSには「会社に拒否された」という報告と「そもそも拒否できるわけがない」という反論が並びます。同じ出来事に真逆の反応が付くのは、法律の話と、実務・感情の話が混ざっているからです。この記事では条文にそって整理します。

はじめに: この記事は民法・弁護士法の条文に基づく一般的な説明です。個別の事情によって結論は変わります。実際の対応は弁護士や社会保険労務士にご相談ください。

結論と根拠になる条文

期間の定めのない雇用契約について、民法627条1項は「各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」「雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定めています。退職は労働者が一方的に行える意思表示であり、会社の承諾を要する契約ではありません。退職代行を通じて伝えられたとしても、本人の意思に基づく申し出であれば、この効力に変わりはありません。

🔍 よくある思い込みと、実際のところ

思い込み退職代行は突然の連絡だから、会社が受け取りを拒否すれば退職は成立しない
実際民法627条1項により退職の申入れは労働者の一方的な意思表示で足り、会社の承諾は不要。申入れの日から2週間で契約は終了する

根拠: 民法627条1項(e-Gov法令検索)

退職は会社の許可を必要とする契約ではなく、労働者が一方的に行使できる権利です。

なぜ「拒否できる」と誤解されるのか

就業規則に「退職は1ヶ月前までに届け出ること」と書かれている会社は少なくありません。しかし民法627条の規定より労働者に不利な制限は、判例上、効力が認められにくいとされています。この就業規則の存在が「会社にも拒否権がある」という誤解を生んでいます。

もう一つの原因は、退職代行業者に弁護士資格がない場合、有給消化の調整や未払い賃金の請求といった「法律事務」を代行すると弁護士法72条の非弁行為に触れるおそれがある、という別の論点です。「退職そのものの拒否」と「交渉への対応拒否」が混同され、ネット上で話がかみ合わなくなります。

代行業者の種類で分かれる判断

⚖ どちらになるかの分かれ目

ケース結論根拠
民間業者が「本人の意思で退職します」と伝えるだけ適法・退職は拒否できない民法627条1項(使者としての伝達)
弁護士・労働組合が未払い残業代や有給消化を交渉する適法(団体交渉権・弁護士の代理権)労働組合法6条、弁護士法3条
非弁護士・非労組の民間業者が金銭交渉に踏み込む違法の疑い、会社は交渉に応じなくてよい弁護士法72条(非弁行為)

見るところ: 「退職の意思を伝えるだけ」か「金銭の条件交渉まで行うか」が分かれ目

実際にどう動けばいいか

📝 このとおりに動けばいい

  • STEP 1退職の意思表示自体は受け取る拒否しても、法律上は2週間後に契約が終了する。無視すると手続きが余計にこじれる
  • STEP 2代行業者の身元を確認する弁護士・労働組合・民間業者のどれかで、対応できる範囲が変わる
  • STEP 3金銭交渉には慎重に応じる相手が弁護士・労組でない場合、その交渉自体には応じる法的義務はない。判断に迷ったら専門家に相談する

相談先: 都道府県労働局 総合労働相談コーナー(無料)、法テラス、弁護士会の法律相談

退職代行を使うこと自体をどう思いますか?

よくある質問

退職代行を使われたら、会社は退職を拒否できますか

原則できません。民法627条1項により、期間の定めのない雇用契約は労働者からの解約の申入れから2週間で終了するため、会社の承諾は不要です。

退職代行業者が未払い残業代を請求してきたら応じるべきですか

業者が弁護士でも労働組合でもない場合、金銭の交渉に法的に応じる義務はありません。弁護士法72条の非弁行為にあたるおそれがあるため、本人や正規の代理人と直接やり取りする方法を検討してください。

退職代行を使われたことを理由に懲戒処分はできますか

退職代行の利用そのものは法律で認められた退職の意思表示の伝達方法であり、それ自体を理由にした懲戒処分は不当と判断される可能性が高いです。

まとめ

退職代行を使われても、退職そのものを会社が拒否することはできません。争点になりやすいのは、代行業者が金銭交渉にまで踏み込んだ場合です。まずは業者の身元(弁護士・労働組合・民間業者)を確認することから始めましょう。

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📌 出典:民法627条1項(laws.e-gov.go.jp)/弁護士法72条(laws.e-gov.go.jp)ほか。 制度は改正されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の法律相談にはあたりません。

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