生理用品はなぜ値上げされる?食料品減税の対象外になる理由

【物議】生理用品15%値上げ…食料品減税でも対象外の理由
💰 生活・お金 / 図版:タネアカシ編集部

⚡ 30秒でわかるまとめ

  • 生理用品の値上げが2026年8月から9月にかけて相次ぎます。エリス(大王製紙)は15%以上、ソフィ(ユニ・チャーム)は5%前後がすでに実施済みで、ロリエ(花王)も9月以降に続く見通しです。
  • 原因は中東情勢によるナフサ(粗製ガソリン)価格の高騰。生理用品や紙おむつの不織布・高吸水性樹脂の原料コストが上がっています。
  • 一方で食料品の消費税は2027年4月から1%に下がる方針が決定済みですが、生理用品は「医薬部外品」扱いで対象に含まれず、税率差はむしろ広がります。

📌 出典: 日本経済新聞「ユニ・チャームや大王製紙、紙おむつ値上げ」日本経済新聞「食品消費税27年4月から1%、政府が決定」税理士ドットコム「なぜ軽減税率に新聞が入り、おむつが入らないのか」ほか。

何があったのか

2026年、生理用品の値上げが大手3社でほぼ同時期に重なりました。大王製紙のエリスは8月1日納品分から家庭紙・衛生用品全品を15%以上、ユニ・チャームのソフィは7月から5%前後の値上げをすでに実施しています。花王のロリエについても9月以降の値上げに向けて取引先と交渉中と報じられていますが、値上げ幅と正式な実施日は本稿執筆時点で公表されていません。

理由として各社が挙げているのは、中東情勢の緊迫化による原油由来のナフサ価格の高騰です。生理用品や紙おむつの吸収体には、ナフサを原料とする不織布や高吸水性樹脂が多く使われており、原料コストの上昇がそのまま製品価格に跳ね返っています。花王は7月以降、洗剤「アタック」やスキンケア「ビオレ」の値上げを先行させ、生理用品はその後回しになっている格好です。

これまでの経緯

  • 2019年10月軽減税率制度がスタート。酒類・外食を除く飲食料品と新聞は8%、生理用品を含むそれ以外の日用品は10%のまま据え置かれる。
  • 2026年5月花王が値上げ方針を表明。洗剤・スキンケアから順次実施する意向を示す。
  • 2026年7月〜ユニ・チャームがソフィなどを5%前後値上げ。
  • 2026年8月1日大王製紙がエリスを含む家庭紙・衛生用品全品を15%以上値上げ。
  • 2026年8月5日政府が食料品の消費税を2027年4月から2年間、1%に引き下げる方針を閣議決定。生理用品はこの対象に含まれない。
  • 2026年9月以降花王のロリエも値上げに続く見通し(詳細未公表)。

賛否が割れているポイント

👍 値上げ・現行制度に理解を示す声

  • ナフサ高騰は中東情勢という外的要因で、企業努力だけでは吸収しきれない
  • 3社とも一度に大幅値上げはせず、7月・8月・9月と時期を分散させている
  • 軽減税率は「飲食料品かどうか」で線引きする制度であり、対象を広げれば税収減に直結する

👎 税率格差を問題視する声

  • 生理用品は選ぶ余地なく毎月必要な必需品で、外食のように節約できる性質のものではない
  • 食料品が1%まで下がれば、生理用品との税率差は現行の2ポイントから9ポイントへ広がる
  • 「生理の貧困」が社会問題として認知されつつある中、必需品への配慮を欠いた制度設計だという指摘

生理用品も軽減税率の対象にすべきだと思う?

なぜここまで注目されているのか

この話題が反応を呼んでいるのは、「食料品は下がる」という明るいニュースと、「生理用品は上がる」という暗いニュースが同じ8月に重なったからです。食品値上げの背景にあるナフサ高騰自体は生活全般に及ぶ話ですが、生理用品は毎月一定額を女性だけが継続的に負担する性質の支出であるため、税率が据え置かれたままの状態が「取り残されている」という感覚につながりやすいと考えられます。

海外との比較も議論を後押ししています。イギリスはEU離脱後の2021年に生理用品への課税(通称タンポン税)を撤廃し、スコットランドは2022年、公的機関での生理用品の無償提供を義務化する法律を世界で初めて施行しました。日本では軽減税率の対象が「飲食料品と週2回以上発行の新聞」に限定される制度設計のままで、「生活必需品かどうか」ではなく「商品カテゴリーで機械的に線引きしている」点が、値上げのタイミングと重なったことで改めて可視化された形です。

補足: 花王ロリエの値上げ幅・正式な実施日は本稿執筆時点(2026年8月)で公式発表がなく、報道されている「9月以降」は交渉状況に基づく見通しです。確定次第、内容が変わる可能性があります。また軽減税率制度そのものは2019年の消費税率引き上げ時に導入されたもので、2026年に新設されたルールではありません。

まとめ

生理用品の値上げは、原材料高という他の日用品と共通の事情によるものですが、「食料品の税負担は軽くなるのに、生理用品はそうならない」という対比が、今回とりわけ強い反応を呼んでいます。値上げの波が9月のロリエで一巡した後、軽減税率の対象範囲そのものが議論の俎上に上るかどうかが、次の焦点になりそうです。

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