内定辞退で損害賠償はあるか? 民法627条が示す答え
⚡ 結論だけ先に
- 内定辞退で損害賠償を請求されることは、通常ありません。
- 根拠は民法627条です。期間の定めのない労働契約は、原則いつでも申し入れから2週間で解約できます。誓約書の違約金条項も労働基準法16条により原則無効です。
- 例外は、入社直前まで連絡せず著しく信義則に反した場合(東京地裁平24.12.28判決)。伝えるタイミングだけは注意が必要です。
内定を辞退したいけれど「損害賠償を請求されるのでは」と不安になる人は多く、就活・転職系のQ&Aサイトでは同じ質問が繰り返し立てられています。「誓約書にサインしたから無理」「余裕で辞退できる」と回答が割れる背景には、法律と裁判例を正確に整理していない情報が多いことがあります。
まず答え:通常は損害賠償を請求されない
内定は、就労開始日を始期とする労働契約が成立した状態として扱われます。この労働契約を辞退することは、法律上は解約の申し入れにあたります。民法627条は、期間の定めのない雇用契約について「各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができ、雇用は解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定めており、内定辞退にもこの考え方が及びます。つまり理由を問わず、辞退の自由が原則として認められています。
🔍 よくある思い込みと、実際のところ
根拠: 民法627条、労働基準法16条、東京地裁 平成24年12月28日判決
内定辞退は「裏切り」ではなく、法律が認めた「解約」です。
なぜ「賠償される」という噂が独り歩きするのか
企業側が入社直前の内定辞退に強く反発し、感情的に「損害賠償だ」と口にするケースが実際にあることが、噂の一因です。また就活生向けの誓約書に「辞退の場合は違約金を支払う」といった条項が書かれていることがあり、これを見た人が「法的に拘束される」と誤解してしまいます。しかし労働基準法16条は「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と明記しており、こうした条項自体が違法・無効です。厚生労働省の「確かめよう労働条件」サイトでも、内定・採用に関する裁判例が公開されています。
賠償責任が生じるか、生じないかの分かれ目
⚖ どちらになるかの分かれ目
| ケース | 結論 | 根拠 |
|---|---|---|
| 常識的な時期に辞退を申し出た | 賠償責任なし | 民法627条 |
| 誓約書に違約金・賠償予定の条項がある | その条項自体が無効 | 労働基準法16条 |
| 入社直前まで連絡せず、著しく信義に反した | 賠償責任を負う可能性 | 東京地裁平24.12.28判決 |
見るところ: 「辞退したかどうか」ではなく、「連絡のタイミングが著しく不誠実だったか」が分かれ目です。
内定を辞退すると決めたときの動き方
📝 このとおりに動けばいい
- STEP 1決めたらすぐ連絡する電話などできるだけ早い手段で意思を伝える。
- STEP 2入社直前は避ける先延ばしにするほど、企業側の損害立証がしやすくなる。
- STEP 3強い引き止めや違約金請求には慌てない誓約書の違約金条項は原則無効。1人で抱え込まない。
相談先: 総合労働相談コーナー(最寄りの労働基準監督署)、法テラス、弁護士
内定を辞退した経験、または迷ったことはありますか?
よくある質問
内定を辞退すると損害賠償を請求されますか?
通常は請求されません。民法627条により、期間の定めのない労働契約は原則いつでも解約の申し入れができます。東京地裁平成24年12月28日判決も、内定辞退の申し入れが著しく信義則に反する態様でない限り賠償責任は負わないとしています。
誓約書に「辞退したら違約金」と書いてあっても有効ですか?
原則無効です。労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金を定めたり損害賠償額を予定したりする契約を禁止しています。内定に伴う誓約書に同様の条項があっても、その部分は法的効力を持ちません。
内定辞退を伝えるタイミングはいつまでがよいですか?
決めた時点でできるだけ早く伝えるのが基本です。裁判例でも、入社直前まで通知を先延ばしにし、企業の準備や採用活動に具体的な損害を生じさせたケースで信義則違反が問題にされています。早めの連絡が最も確実なトラブル回避策です。
まとめ
内定辞退は法律で認められた解約であり、「辞退=損害賠償」ではありません。誓約書の違約金条項に脅される必要もありません。唯一気をつけるべきは連絡のタイミングだけです。決めたら、できるだけ早く、誠実に伝えてください。
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📌 出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」採用内定の取消 裁判例、 労働新聞社「労働判例交差点」東京地裁平成24年12月28日判決ほか。 個別の事案では判断が異なることがあります。最新の内容は各機関の公表資料をご確認ください。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の法律相談にはあたりません。
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