退職後の健康保険、任意継続と国民健康保険どちらが得か

【比較】退職後の健康保険、任意継続と国保どっちが得
💡 答え合わせ / 図版:タネアカシ編集部

⚡ 結論だけ先に

  • 「任意継続のほうが得」「国保のほうが安い」という話が両方出回るのは、保険料の決まり方がまったく違うから。一概にどちらが得とは言えない
  • 任意継続は退職時の給与を基準に決まり上限がある(健康保険法37条)。国保は前年の所得と自治体の税率で決まるため、前年の年収が高い人ほど国保が高くなりやすい
  • 任意継続は最長2年間しか続けられず、切り替えを忘れると無保険期間が生じることがある

「会社を辞めたら国保のほうが安かった」という体験談と、「任意継続にして正解だった」という体験談が、SNS上で両方見つかります。これは意見が割れているのではなく、退職時の給与水準と前年の所得によって、有利な制度が入れ替わるからです。

はじめに: 保険料は前年所得や自治体・組合によって変わるため、この記事は一般的な仕組みの説明です。実際の金額は、加入していた健康保険組合・協会けんぽ支部、またはお住まいの市区町村の国民健康保険窓口で見積もりを取ってください。

結論と根拠になる条文

健康保険法37条は、会社を退職した人が一定の条件(退職日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間があること、退職から20日以内に申し出ること)を満たせば、退職後も最長2年間、それまでの健康保険に任意で加入し続けられる「任意継続被保険者」制度を定めています。在職中は会社と折半だった保険料を全額自己負担する必要がありますが、保険料の算定基準となる標準報酬月額には上限があり、協会けんぽの場合は令和8年度で32万円です。給与が高かった人ほど、この上限によって保険料が頭打ちになります。

🔍 よくある思い込みと、実際のところ

思い込み任意継続は会社負担分まで自分で払うから、必ず国民健康保険より高くなる
実際任意継続の保険料には標準報酬月額の上限(協会けんぽで32万円、令和8年度)があるため、退職時の給与が高かった人ほど、上限のない国民健康保険より任意継続のほうが安くなることがある

根拠: 健康保険法37条、協会けんぽ「任意継続制度」

保険料の高い安いは「給与が高かったかどうか」ではなく、「上限のある制度か、ない制度か」で逆転することがあります。

なぜ答えがバラつくのか

任意継続の保険料は退職時の標準報酬月額(給与)を基準に決まり、上限があります。一方、国民健康保険の保険料は前年1年間の所得を基準に、お住まいの市区町村ごとの税率(条例で規定)で計算されます。さらに国保には「扶養」という考え方自体がなく、家族の人数分だけ保険料が積み上がる点も任意継続と異なります。

どちらが得かは、退職時の給与水準・前年所得・扶養家族の人数の組み合わせで決まるため、体験談だけでは一般化できません。

判断の分かれ目

⚖ どちらになるかの分かれ目

ケース結論根拠
退職時の給与が高く(標準報酬月額の上限超)、扶養家族がいる任意継続が有利になりやすい健康保険法37条の上限、被扶養者は別途保険料なし
退職時の給与が低く、単身世帯国民健康保険が有利になりやすい前年所得ベースで保険料が算定される
前年に一時的な高収入があり、退職後は無職・低収入任意継続が有利になりやすい国保は前年所得基準のため退職直後は高くなりやすい
退職から20日を過ぎてから申し出た任意継続には加入できない健康保険法37条1項(20日以内の申出期限)

見るところ: 「退職時の給与水準」と「前年の所得」のどちらが高いかで有利不利が入れ替わる

実際にどう動けばいいか

📝 このとおりに動けばいい

  • STEP 1任意継続の見積もりを取る退職前に、勤務先の健康保険組合(または協会けんぽ)へ任意継続時の保険料見積もりを確認する
  • STEP 2国保の見積もりも取るお住まいの市区町村の国民健康保険窓口でも、前年所得をもとにした保険料試算を依頼する
  • STEP 3期限内に選ぶ2つの見積もりを比べて選ぶ。任意継続を選ぶ場合、退職日の翌日から20日以内という申請期限を絶対に過ぎないこと

相談先: 協会けんぽ各都道府県支部、加入していた健康保険組合、お住まいの市区町村 国民健康保険担当窓口

退職後の健康保険、選ぶ前に両方の保険料を見積もりましたか?

よくある質問

任意継続と国民健康保険、どちらが得か一律に言えますか

一律には言えません。任意継続の保険料は退職時の給与(標準報酬月額)を基準に上限付きで決まり、国民健康保険は前年の所得を基準に自治体ごとの税率で決まるため、給与水準や扶養家族の有無によって有利不利が変わります。

任意継続はいつまでに申し込む必要がありますか

健康保険法37条1項により、資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に申し出る必要があります。この期限を過ぎると任意継続には加入できません。

任意継続の途中で国民健康保険に切り替えることはできますか

任意継続は原則2年間の継続が前提ですが、就職して新たな健康保険に加入した場合などは資格を喪失します。保険料を滞納した場合も資格を失うことがあるため、切り替えを検討する際は加入先の健康保険組合や協会けんぽに確認してください。

まとめ

退職後の健康保険は、任意継続と国民健康保険のどちらが得かを一般論では決められません。退職時の給与と前年の所得、扶養家族の有無をもとに、両方の見積もりを取ってから選ぶのが最も確実な方法です。申請期限(20日以内)だけは、比較検討している間に過ぎないよう注意してください。

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📌 出典:健康保険法37条(laws.e-gov.go.jp)/協会けんぽ「健康保険任意継続制度 保険料について」(kyoukaikenpo.or.jp)ほか。 制度は改正されることがあります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の保険料試算にはあたりません。

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