アニメのアフレコはなぜ台本の収録順どおりに録らないのか、現場の仕組みを図解

【解説】アフレコが台本の収録順どおりじゃない理由
🎬 エンタメ裏話 / 図版:タネアカシ編集部

⚡ 30秒でわかるまとめ

  • アフレコが放送順どおりに進まないのは、出演声優全員のスケジュールが同じ日に揃わないため。
  • 実際はシーン単位・声優単位でまとめて収録し、あとから編集で放送順に組み直す。
  • 台本どおりに読まず、現場でアドリブや言い回しが変わることもある。

アニメのアフレコ現場というと、出演声優が一堂に会し、放送される順番どおりにセリフを重ねていく——そんな光景を想像しがちです。しかし実際の収録は、もっと入り組んだ順番で進んでいます。

アフレコとアテレコはそもそも別物

「アフレコ」は英語のafter recordingを略した和製英語で、映像ができたあとに音声を録音してはめ込む作業全般を指します。よく似た言葉に「アテレコ」がありますが、こちらは実写映像の口の動きに声を当てる作業を指して使われることが多く、厳密には使い分けがあります。

アニメの場合は完成前の映像(線画やラフの状態)に声を当てることも多く、絵と声が同時に完成していない状態で収録が進むのが前提です。この時点ですでに、放送どおりの体験とは違う順序で作業が進んでいることになります。

🎙 「アフレコ」と「アテレコ」の違い

アフレコアテレコ
主な対象アニメ・ナレーションなど実写映像の口の動き
合わせる基準映像の間・演出俳優の口の形
映像の完成度未完成でも収録できる映像はほぼ完成済み

ここが分かれ目: 呼び方の違いは、「声が先か、映像が先か」という制作の前提の違いを映しています。

収録順が放送順と違う理由

アフレコ現場では、放送話数の順番どおりに収録するとは限りません。出演する声優全員が、同じ日にスタジオへ揃うとは限らないからです。あるキャラクターが複数話にまたがって登場する場合、その声優の空いている日に合わせて、複数話ぶんのセリフをまとめて収録することがあります。

🔍 アフレコが放送順どおりに進まない流れ

  • STEP 1スタジオと声優の空きを調整出演声優全員の予定が同じ日に揃うことはまれ。
  • STEP 2シーン単位・キャラ単位でまとめ録り同じ場面に出るキャラの声優が集まった回で、そのシーンを一気に録る。
  • STEP 31人だけの収録も発生掛け持ちの多い声優は、他の共演者と別日に個別で録ることもある。
  • STEP 4編集で放送順に組み直すバラバラに録った音声を、あとから話数どおりに編集して合わせる。

注目: 視聴者が見る「自然な掛け合い」は、別々の日に録った声を編集でつなぎ合わせた結果であることも珍しくありません。

アフレコの現場は、放送の順番ではなく「声優が揃う順番」で動いている。

台本どおりに読まないこともある

収録は台本を一字一句なぞるだけの作業ではありません。現場で音響監督の演出が入ったり、声優自身が演じやすい言い回しに変えることがあったりと、その場で調整されるケースがあります。台本を丸暗記してセリフを言う声優もいれば、台本を見ながら演じる声優もおり、進め方には幅があります。

🎭 収録現場で起きる「台本からのズレ」

アドリブの追加 言い回しの変更 音響監督の演出指示 尺(時間)に合わせた調整 掛け合いのテンポ調整

図の見方: いずれも台本を土台にした現場での微調整であり、内容そのものを覆すものではありません。

声優のスケジュールという制約

複数の作品を掛け持ちする声優が多いことも、収録順が複雑になる一因です。近年はスタジオに複数人が集まる従来型の収録に加え、声優ごとに個別で収録する形式も広がっており、全員が顔を合わせて演じる機会そのものが減っている作品もあります。

📊 収録順が複雑になりやすい要因

声優の掛け持ち本数の多さ
スタジオの空き状況
個別収録形式の広がり
映像の完成が録音に間に合わない

図の見方: 実測データではなく、業界解説記事の内容をもとに当編集部が影響度の傾向を整理した概念図です。作品ごとに事情は異なります。

それでも視聴者が違和感なく見られるのは、バラバラに録った音声を、後工程の編集で丁寧に組み直しているからです。放送で自然に聞こえる掛け合いの裏には、収録現場の細かなパズルのような調整があります。

アフレコが放送順どおりに録られていないと知って、どう思う?

よくある質問

アフレコはなぜ台本の収録順どおりに録らないの?

出演する声優全員が同じ日にスタジオへ揃うとは限らないためです。スケジュールが合う声優や、同じシーンに出るキャラクターをまとめて収録することが多く、結果として放送順とは違う順番で録音が進みます。

アフレコとアテレコの違いは何?

どちらも「後から音声を録音してはめ込む」作業を指しますが、実写映像の口の動きに声を合わせる作業を特に「アテレコ」、アニメ制作全般での音入れを含めて広く「アフレコ」と呼び分けることが多いという違いがあります。

アフレコで台本と違うセリフになることはある?

あります。収録の現場でアドリブが加わったり、声優が演じやすいように言い回しが変わったりすることがあり、台本を完全になぞらない収録も珍しくありません。

まとめ

アフレコが台本の収録順どおりに進まないのは、手抜きでも演出上の狙いでもなく、声優のスケジュールという現実的な制約から生まれる現場の工夫です。バラバラに録られた声が、編集によって自然な掛け合いに組み直されていると知ると、次に見るアニメの印象が少し変わるかもしれません。

画面の向こうでは、放送とはまったく違う順番で声優たちの声が積み重ねられている——そう考えると、アフレコという仕事の奥行きが見えてきます。

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📌 出典:テレキャリア「アフレコとは?アテレコとの違いや意味、収録の種類をわかりやすく解説」(f-its.co.jp)、声優業界情報局「声優のアフレコ現場について」(amgakuin.co.jp)、弁護士ドットコムニュース「コロナで激変『アニメ声優のアフレコ事情』」(bengo4.com)ほか。

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