映画の公開日はなぜ金曜日に集中するのか、東宝が仕掛けた2018年の大転換

【解説】映画公開日はなぜ金曜日?東宝が変えた理由
🎬 エンタメ裏話 / 図版:タネアカシ編集部

⚡ 30秒でわかるまとめ

  • 映画の公開日が金曜日に集中しているのは、東宝が2018年4月から公開日を土曜から金曜へ切り替えたため。
  • 理由は「プレミアムフライデー」への協力施策劇場スタッフの働き方改革
  • アメリカは元から金曜週末興行が定着、フランスは水曜公開が伝統と、国によって曜日文化が違う

気づけば話題の新作映画は、いつも金曜日から始まっている——そう感じたことはありませんか。実はこれは偶然でも慣習でもなく、2018年にある配給会社が下した経営判断がきっかけでした。

かつて映画は土曜日に公開されていた

いま国内で公開される映画のほとんどは金曜日が初日です。しかしこの慣習が定着したのは、実はそれほど昔のことではありません。2018年3月以前、日本の映画公開日は土曜日が基本でした。

週末に観客を呼び込むという狙い自体は今と同じですが、「土曜スタートで土日2日間を初動として見る」のが長年の業界標準だったのです。この慣習を大きく変えたのが、国内最大手の配給会社である東宝でした。

📅 映画の公開曜日、切り替え前と切り替え後

2018年3月まで(土曜公開)

  • 初日は土曜日
  • 初動集計は土日の2日間
  • 劇場スタッフは金曜夜に準備作業が集中

2018年4月以降(金曜公開)

  • 初日は金曜日
  • 初動集計は金土日の実質3日間
  • 準備作業を平日に前倒しできる

図の見方: 東宝の方針転換(2017年12月発表)を境にした、公開曜日の運用の変化を当編集部が整理した概念図です。

東宝が金曜日に切り替えた2つの理由

東宝は2017年12月13日、2018年4月公開の「名探偵コナン ゼロの執行人」以降、新作の公開日を原則「土曜→金曜」に前倒しすると発表しました。理由として挙げられたのは、大きく2つです。

🔍 東宝が公表した金曜公開への切り替え理由

  • 理由 1プレミアムフライデーへの協力経済産業省が推進していた「毎月最終金曜日は早めに退社し消費を促す」官民連携キャンペーンに合わせ、映画を金曜の楽しみ方の選択肢に加える狙い。
  • 理由 2劇場スタッフの働き方改革従来は土曜公開に向けて金曜深夜に上映準備が集中していたが、初日を金曜に移すことでスタッフの深夜・早朝の負担を減らす。

出典: 東宝の発表内容を報じた映画メディアの記事にもとづきます。詳しくは末尾の出典欄を参照してください。

映画が金曜日に始まるのは伝統ではなく、たった一つの会社が2018年に下した判断だった。

切り替え後、業界全体に広がった

東宝の方針転換をきっかけに、松竹など他の大手配給会社も追随し、金曜公開は数年のうちに業界全体の標準になりました。ドラえもん映画も2019年以降は毎年金曜日公開に統一されています。

この間、興行成績を集計する側の運用も、金曜公開が定着した後で変化しています。週末ランキングの対象期間を「土日2日間」から「金土日3日間」に広げる動きが見られ、金曜公開が先、集計方法の見直しは後という順序だったとみられます。

🎬 公開曜日をめぐる主な出来事

  • 〜2018年3月国内の映画公開日は土曜日が基本だった時代
  • 2017年12月東宝が「2018年4月から公開日を金曜に前倒し」と発表
  • 2018年4月「名探偵コナン ゼロの執行人」などが金曜公開でスタート
  • 2019年〜ドラえもん映画をはじめ、多くの新作が金曜公開に統一

図の見方: 公開されている報道内容をもとに当編集部が時系列で整理したものです。個別作品ごとの例外は含みません。

海外の「公開曜日」文化との違い

金曜公開は日本だけの現象ではありません。ただし、そこに至った経緯は国によってまったく違います。

🌏 映画公開曜日、国ごとの違い

日本アメリカフランス
基本の公開曜日金曜日金曜日水曜日
定着の経緯2018年に人為的に転換古くから週末興行が定着学校が水曜休みだった慣習の名残
特徴的な運用準備作業を平日に分散木曜夜のプレビュー興収を週末に合算週の真ん中で客足を分散

注意: 各国とも祝日・大型連休向けに公開日を前後させる例外があります。表は基本パターンの比較です。

アメリカは元から金曜日を軸にした週末興行の文化があったのに対し、日本は2018年に一つの配給会社の判断で土曜から金曜へ切り替わったという点が大きく異なります。フランスの水曜公開のように、国ごとの生活リズムが公開曜日に反映されているとも言えるでしょう。

映画の公開日、あなたは何曜日に観に行くことが多い?

よくある質問

映画の公開日はなぜ金曜日が多いの?

東宝が2017年12月に、2018年4月公開作品以降は新作の公開日を原則「土曜→金曜」に前倒しすると発表したためです。経済産業省が推進する「プレミアムフライデー」への協力施策と、劇場スタッフの働き方改革(残業削減)が理由として挙げられています。松竹など他の配給会社もこの流れに追随しました。

以前は何曜日に公開されていたの?

2018年3月以前は土曜日公開が基本でした。東宝の方針転換をきっかけに、多くの配給会社が金曜日公開へ切り替えていき、現在では金曜日が国内映画公開の標準的な曜日になっています。

海外でも映画は金曜日に公開されるの?

アメリカでは古くから金曜日を軸にした週末興行(金〜日)が定着しており、木曜夜のプレビュー上映もその週末成績に合算されます。フランスでは伝統的に水曜日公開が基本です。日本は2018年に人為的な方針転換で金曜日に切り替わった点が、もともと金曜が定着していた米国とは異なります。

まとめ

映画の公開日が金曜日に集中しているのは、昔からの伝統ではなく、2018年に東宝が下した経営判断がきっかけでした。プレミアムフライデーへの協力と働き方改革という、意外と実務的な理由から生まれた慣習です。

次に映画館のスケジュールを見るとき、「なぜ金曜からなのか」の答えを知っている人として眺めてみると、また違った見え方になるはずです。

関連記事:映画パンフレットは日本だけの文化 / 映画のエンドロールが長い理由 / 🎬 エンタメ裏話をもっと読む

📌 出典:映画.com「東宝、2018年4月公開作品から新作の公開日を『金曜日』に統一」報道(eiga.com)、 BuzzFeed Japan「東宝が映画の公開日を『金曜日』に変更する理由」(buzzfeed.com)ほか。

▶ 次に読む 🎬 エンタメ裏話 解説映画のR15+とR18+の違い、映倫の線引き 映画のR15+とR18+の違いは、性描写の直接性や暴力表現の残虐性の程度で映倫が判断しています。両者の境界線と審査の仕組みを、実例つきで解説します。

🔗 あわせて読みたい