発色剤(亜硝酸ナトリウム)は危険?ボツリヌス菌を防ぐ役割の実際
⚡ 30秒でわかるまとめ
- 発色剤(亜硝酸ナトリウム)の役割は色止めだけでなく、ボツリヌス菌という危険な食中毒菌の増殖を防ぐこと。
- 日本ではハム・ソーセージ類で亜硝酸根として70ppm以下という使用上限が厚生労働省の基準で定められている。
- IARCは2015年に加工肉をグループ1に分類したが、これは「証拠の確からしさ」の分類であり、量やリスクの大きさを示すものではない。
ハムやソーセージの原材料表示にある「発色剤(亜硝酸Na)」の文字を見て、体に悪いのではと不安になったことはないだろうか。実はこの添加物には、色を保つ以上に重要な食品安全上の役割がある。
発色剤は何のために入っているか
亜硝酸ナトリウムは、肉の中の色素(ミオグロビン)と反応してピンク色を保つ「発色」の働きを持つ。だが、それだけが目的ではない。
⚖ 発色剤の2つの役割
見た目の役割
- 加熱してもピンク色が保たれる
- 灰色っぽく変色しない
安全上の役割
- ボツリヌス菌の増殖を抑える
- ボツリヌス毒素による食中毒を防ぐ
ここが分かれ目: ボツリヌス菌は酸素の少ない環境で増えやすく、加熱調理された食肉加工品はまさにその条件になりやすい食品です。発色剤には、この増殖を抑える食品安全上の役割があります。
「色を保つ添加物」ではなく、「危険な菌を抑える添加物」でもある。
日本の使用基準
亜硝酸ナトリウムは、食品衛生法にもとづく使用基準で、食品ごとに上限が厳しく定められている。上限を超えて使うことは法律で禁止されている。
📊 亜硝酸根の使用基準(厚生労働省)
| 食品 | 上限(亜硝酸根として) |
|---|---|
| ハム・ソーセージ・ベーコン・鯨ベーコン | 0.070g/kg(70ppm)以下 |
| 魚肉ソーセージ・魚肉ハム | 0.050g/kg(50ppm)以下 |
| いくら・すじこ・たらこ | 0.0050g/kg(5ppm)以下 |
図の見方: 厚生労働省の食品衛生法にもとづく使用基準を当編集部が整理しました。
「加工肉はグループ1」の本当の意味
2015年10月26日、WHOの国際がん研究機関(IARC)は、加工肉を「発がん性がある」とするグループ1に分類したと発表した。この報道だけを見ると強い不安を感じるかもしれないが、内容を正確に見る必要がある。
⚠ IARC「グループ1」をめぐる誤解と実際
図の見方: WHO・IARCの発表内容と、日本の食品安全委員会が示している「分類は証拠の強さを示すもので、リスクの大きさとは別」という考え方を当編集部が整理しました。
許容一日摂取量という考え方
食品添加物の安全性は、「ゼロか危険か」ではなく、毎日一生涯食べ続けても健康に影響が出ないとされる量(許容一日摂取量、ADI)という考え方で管理されている。亜硝酸については、FAO/WHO合同の専門家委員会(JECFA)が数値を設定している。
📊 亜硝酸の許容一日摂取量(JECFA)
図の見方: EFSA(欧州食品安全機関)の解説資料が引用しているJECFAの評価値です。日本の使用基準は、この許容量を踏まえて食品ごとの上限が設定されています。
発色剤(亜硝酸Na)入りのハム・ソーセージ、気にせず食べますか?
よくある質問
発色剤(亜硝酸ナトリウム)は何のために入っているの?
ハムやソーセージの色を保つ「発色」の役割に加え、ボツリヌス菌という危険な食中毒菌の増殖を抑える食品安全上の役割があります。色止めだけの目的ではなく、むしろ安全のために使われている添加物です。
IARCが加工肉をグループ1に分類したのは本当?
本当です。2015年10月26日、WHOの国際がん研究機関(IARC)は加工肉を「発がん性がある」グループ1に分類しました。根拠は、加工肉を1日50g多く食べるごとに大腸がんリスクが18%上昇するという関連研究です。ただしこの評価の対象は主に加熱・燻製時に生成するニトロソアミン等の化合物であり、この分類は証拠の確からしさを示すもので、量やリスクの大きさそのものを表すものではないとされています。
日本での亜硝酸ナトリウムの使用量の上限は?
厚生労働省の食品衛生法にもとづく使用基準では、ハム・ソーセージ・ベーコンなどの食肉製品で、亜硝酸根として1kgあたり0.070g(70ppm)以下と定められています。魚肉ソーセージ・魚肉ハムは0.050g/kg、いくら・すじこ・たらこは0.0050g/kgと、食品ごとに異なる上限があります。
まとめ
発色剤(亜硝酸ナトリウム)は、色止めだけでなくボツリヌス菌対策という食品安全上の理由で使われ、使用量には厳しい上限が定められている添加物だ。IARCの「グループ1」という分類も、量やリスクの大きさを示すものではない。
不安に感じる場合は、パッケージの原材料表示を確認したうえで、極端に避けるのではなく基準の中身を知ったうえで選ぶのが実用的な向き合い方だろう。
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📌 出典:WHO国際がん研究機関(IARC)発表 2015年10月26日(who.int)、厚生労働省 食品衛生法にもとづく添加物使用基準、EFSA(欧州食品安全機関)によるJECFA評価の解説資料ほか。
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