セルフハンディキャッピングとは何か、心理学の実験で見る仕組み

セルフハンディキャッピングとは、失敗の言い訳を作る心理
🧠 人間の不思議 / 図版:タネアカシ編集部

⚡ 30秒でわかるまとめ

  • セルフハンディキャッピングとは、失敗の言い訳になる障害をあらかじめ自分で用意してしまう心理。
  • 1978年、心理学者ベルグラスとジョーンズの実験で確認された。
  • 行動で作る」タイプと「口で主張する」タイプの2種類があり、誰にでも起こりうる。

テスト前夜になると、なぜか部屋の片づけを始めてしまう。大事な発表の直前に「準備不足で」と口にしてしまう。心当たりがあるなら、それは「セルフハンディキャッピング」という心理かもしれません。正体を心理学の実験とあわせて整理します。

セルフハンディキャッピングとは

セルフハンディキャッピングとは、失敗が予測される場面で自尊心が傷つくのを避けるため、あらかじめ失敗の言い訳になるような外的な障害を自分で用意してしまう心理のことです。1978年、アメリカの心理学者スティーブン・ベルグラスとエドワード・ジョーンズによって提唱されました。

典型的なのが、試験の前夜になぜかパーティーに行ってしまう学生の例です。失敗すれば「二日酔いだったから」と言い訳ができ、それでも合格すれば「ハンディキャップを乗り越えて成功した」とむしろ評価が上がります。どちらに転んでも自尊心が守られる、都合のいい仕組みというわけです。

🎓 試験前夜のセルフハンディキャッピング

  • STEP 1失敗への不安を感じる「今回はうまくいかないかもしれない」という予感。
  • STEP 2言い訳になる行動を取る前夜に遊ぶ・準備を後回しにするなど。
  • STEP 3-A失敗した場合「あのせいで」と原因を外部に置ける。
  • STEP 3-B成功した場合「それでも出来た」と評価がむしろ上がる。

図の見方: Berglas & Jones(1978)の議論をもとに、当編集部が典型例を図解した概念図です。

1978年、ベルグラスとジョーンズの実験

ベルグラスとジョーンズは、参加者に問題解決のテストを行わせ、全員に「よくできました」という肯定的なフィードバックを与えました。その後、「一時的に能力を高める薬」と「一時的に能力を下げる薬」(実際はどちらもただの水)のどちらかを選ばせる実験を行いました。

結果、難しい問題を解いたグループほど、能力を下げる薬を選ぶ割合が高くなりました。自分の成功が実力によるものか偶然によるものか自信が持てず、次に失敗したときの言い訳を先回りして用意しようとしたと考えられています。

課題の難易度成功の理由の感じ方選ばれやすい薬
簡単な問題実力による成功だと感じやすい能力を高める薬
難しい問題偶然による成功かもしれないと不安能力を下げる薬(言い訳の準備)

図の見方: Berglas, S., & Jones, E. E.(1978)の実験結果をもとに、当編集部が傾向を整理した概念図です。

🎥 関連動画:セルフ・ハンディキャッピングとは何か

出典:YouTube。サムネイルをクリックすると再生します(クリックするまで動画は読み込みません)。

セルフハンディキャッピングは、どちらに転んでも自尊心が傷つかないようにする「保険」だった。

2つのタイプ、行動編と言葉編

セルフハンディキャッピングには、大きく「獲得的(行動的)」と「主張的(言明的)」の2つのタイプがあるとされています。実際に行動で障害を作るか、口先だけで障害があると主張するかの違いです。

🗣 2つのセルフハンディキャッピング

獲得的(行動的)

  • 前夜に遊んでしまう
  • あえて練習を怠る
  • 達成が難しい目標を立てる

主張的(言明的)

  • 「体調が悪くて」と口にする
  • 「準備不足で」と先に言う
  • 実際の障害の有無は問わない

図の見方: セルフ・ハンディキャッピングに関する心理学の解説記事をもとに、当編集部が整理した概念図です。

気づいたときの向き合い方

セルフハンディキャッピングは、誰にでも起こりうる自然な自己防衛の反応です。とはいえ繰り返すと、練習不足や準備不足が積み重なり、かえって実力を発揮しにくくなってしまいます。

💡 向き合うためのポイント

まず気づく「言い訳を先に用意していないか」を振り返る
結果より過程を評価する成功・失敗ではなく、取り組んだ過程に目を向ける
小さな成功を積む難易度の低い目標から達成感を積み重ねる

図の見方: セルフ・ハンディキャッピングの克服法として紹介されている考え方を、当編集部が整理したものです。

セルフハンディキャッピング、自分にも心当たりがある?

よくある質問

セルフハンディキャッピングとは何?

失敗する可能性を感じたときに、自尊心が傷つくのを避けるため、あらかじめ失敗の言い訳になるような障害を自分で用意してしまう心理のことです。1978年に心理学者ベルグラスとジョーンズが提唱しました。

セルフハンディキャッピングの具体例は?

テスト前夜にあえて遊んでしまう、大事な発表の直前に「準備不足で」と言っておく、といった行動が典型例です。失敗しても言い訳ができ、成功すればハンディキャップを乗り越えたことになり評価が上がります。

セルフハンディキャッピングをやめるにはどうすればいい?

まずは自分がこの行動を取っていると気づくことが第一歩です。そのうえで、結果ではなく取り組む過程そのものに価値を置く考え方に切り替えることが、心理学の解説でも勧められています。

まとめ

セルフハンディキャッピングは、失敗しても自尊心が傷つかないよう、あらかじめ言い訳になる障害を用意してしまう心理でした。1978年の実験が示す通り、成功への自信が持てないときほど、この行動は起きやすくなります。

大切なのは、この心理に気づいたうえで、結果ではなく取り組む過程に目を向けてみることです。言い訳を先に用意しなくても、挑戦したこと自体に価値があります。

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📌 出典:Berglas, S., & Jones, E. E.(1978)"Drug choice as a self-handicapping strategy in response to noncontingent success," Journal of Personality and Social Psychology, 36(4), 405-417、Wikipedia「セルフ・ハンディキャッピング」(ja.wikipedia.org)ほか。

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