青信号はなぜ緑色なのに「青」と呼ぶのか、法令と歴史から解説
⚡ 結論だけ先に
- 青信号の光は実際には緑色。呼び名だけが歴史的な経緯で「青」に定着しました。
- 1930年の設置当初、法令上は「緑色信号」でしたが、新聞や世間の呼び方に合わせて1947年の道路交通取締法で「青色」表記に統一されました。
- 色そのものにも工夫があり、色覚特性に配慮して緑の中でもっとも青に近い色度が選ばれています。
信号機の色を聞かれて「赤・青・黄」と即答する人は多いはずですが、実際にあの光を見ると誰の目にも緑色です。「なぜ緑なのに青と呼ぶのか」は昔からよく聞かれる素朴な疑問で、「昔の日本語では緑も青と呼んだから」で終わらせる説明も多いのですが、それだけでは呼び方が「変わった」経緯まで説明できません。警察の公式Q&Aや法令の変遷から、順を追って整理します。
まず答え:呼び名だけが「青」で、光は緑
大阪府警本部の公式Q&Aは、この疑問に対して「青信号は緑色に見えるのに、なぜ『青』と言うのですか」という質問を立て、色の名前と法令上の呼び方がずれていることをはっきり認めています。つまり「本当は青なのに緑に見えているだけ」ではなく、「色は緑だが呼び方が青になっている」というのが正しい理解です。
現在の道路交通法施行令でも、信号の意味を定める条文では一貫して「青色の灯火」という表記が使われています。法令の名前と、目で見える色が一致していない状態が、いまも公式に維持されているということです。
🔍 よくある思い込みと、実際のところ
根拠: 大阪府警本部「Q6 青信号は緑色に見えるのに、なぜ『青』と言うのですか」、道路交通法施行令
信号の光は紛れもない緑色。「青」なのは、呼び名だけだった。
なぜ「青信号」という呼び方が定着したのか
日本で信号機が初めて設置されたのは1930年(昭和5年)、東京の日比谷交差点です。このとき法令上の名称は「緑色信号」でした。ところが新聞各社がこぞって「青信号」と表記し、一般の人々の間でも「青信号」「青」という呼び方があっという間に広まっていきます。
背景には、日本語における「青」という言葉の範囲の広さがあります。「青葉」「青りんご」「青々とした新緑」のように、日本語は古くから緑色のものを「青」と表現してきました。もともと日本の伝統的な色名は「赤・青・黒・白」の4色が基本で、この「青」には現在の青と緑の両方が含まれていたとされています。世間の呼び方に法令のほうが追いつく形で、1947年に制定された道路交通取締法第3条で「青色」という表記に統一され、現在の道路交通法施行令にもそのまま引き継がれました。
📝 「緑色信号」から「青信号」になるまで
- STEP 11930年東京・日比谷交差点に日本初の信号機を設置。法令上の名称は「緑色信号」。
- STEP 2呼び方のずれ新聞や世間が「青信号」「青」と呼び始め、急速に定着する。
- STEP 31947年道路交通取締法第3条で、法令の表記が「青色」に変更される。
- STEP 4現在道路交通法施行令でも「青色の灯火」の表記が引き継がれている。
まとめると: 先に世間が呼び方を変え、法令があとから追認したという順番です。
「青」と呼ぶのに緑を使っているのは矛盾では?
矛盾と感じる人が多いのも当然です。ただしこの呼び方のずれは、あとから触れる「色そのものの工夫」とセットで見ると理由がつながります。次の章で、なぜ完全な緑ではなく「青みの強い緑」が選ばれているのかを見ていきます。
信号の色そのものにも工夫がある
国際照明委員会(CIE)は、信号灯に使う赤・黄・緑などの色について、それぞれ許容される色度(色の範囲)を定めています。日本の警察庁は、このCIEが定める緑の色度範囲の中で、色覚特性を持つ人にもできるだけ見分けやすいよう、もっとも青に近い緑色を信号機の色として採用しています。1973年の関連する内閣府令でも「できるだけ青に近い緑色の光」を用いる旨が定められました。
⚖ 「緑」と呼ばれるものたちの見分け方
| 呼び名 | 実際の色 | 青と呼ばれる理由 |
|---|---|---|
| 青信号 | 青みの強い緑色 | 法令の表記と、日本語の古い色彩感覚 |
| 青葉・青々とした新緑 | 緑色 | 日本語で古くから緑を「青」と呼ぶ慣習 |
| 青りんご | 緑色 | 同上。商品名としても定着 |
| 青虫 | 緑色 | 同上。生物の和名にも広く見られる |
見るところ: 「青信号」は、日本語が緑を青と呼んできた習慣が、たまたま法令用語として固定された一例です。
緑を「青」と呼ぶのは信号だけではない
ここまで見てきたように、「青信号」は日本語の色彩感覚と、法令が世間の呼び方を追認したという歴史が重なって生まれた表現です。海外の多くの国では色の名前どおり「グリーンライト」と呼ばれており、色の名前と法令上の呼び方が一致しているほうが、世界的にはむしろ標準だと言えます。
次に交差点で信号待ちをするとき、「これは緑色だけど、日本語の歴史のなかで青と呼ばれるようになった色なんだ」と思い出してみると、見慣れた景色が少し違って見えるはずです。
信号の色、これまで何色だと思っていましたか?
よくある質問
青信号は本当は何色ですか?
光そのものは緑色です。ただし日本の信号機は、色の区別がしにくい人にも見分けやすいよう、国際照明委員会(CIE)が定める緑の範囲の中でもっとも青みの強い緑色を採用しています。呼び名だけが法令上「青色」になっています。
いつから「青信号」と呼ばれるようになったのですか?
日本に信号機が初めて設置された1930年当時、法令上は「緑色信号」でした。しかし新聞や世間では「青信号」という呼び方が広まり、1947年に制定された道路交通取締法で「青色」という表記に統一されました。現在の道路交通法施行令でも「青色の灯火」と定められています。
海外でも信号の緑を「青」と呼びますか?
多くの国では色の名前どおり「グリーンライト(緑信号)」と呼ばれます。緑色のものを「青」と呼ぶ習慣は、日本語で古くから「青葉」「青りんご」のように緑を青の範囲に含めてきた色彩感覚に由来すると考えられています。
まとめ
青信号の光は紛れもない緑色で、1930年の法令でも当初は「緑色信号」と呼ばれていました。世間の呼び方に法令があとから追いつく形で、1947年に「青色」表記へ統一されたのが真相です。色そのものにも、色覚特性への配慮からもっとも青に近い緑が選ばれています。
今度信号待ちをするときは、あの光が「歴史のねじれ」を今も見せ続けていることを、ちょっとだけ意識してみてください。
関連記事:信号のない横断歩道で止まらない車の話 / トイレの音姫が生まれた本当の理由
📌 出典:大阪府警本部「Q6 青信号は緑色に見えるのに、なぜ『青』と言うのですか」、 道路交通法施行令、1973年内閣府令(信号灯の色彩に関する基準)ほか。 整理と解釈はタネアカシ編集部によるものです。制度や規格は改定されることがあるため、最新の内容は所管省庁の公表資料をご確認ください。
▶ 次に読む
🎬 エンタメ裏話
解説映画公開日はなぜ金曜日?東宝が変えた理由
映画の公開日が金曜日に集中しているのは、東宝が2018年に公開日を土曜から金曜へ切り替えたためです。プレミアムフライデーへの協力と働き方改革が理由でした。経緯を整理します。



