世界地図がイコールアース図法に変わる? 国連決議164カ国賛成、米国だけ反対の理由
⚡ 30秒でわかるまとめ
- 国連総会は9月4日、世界地図を「メルカトル図法」から実際の面積に近い「イコールアース図法」へ移行するよう促す決議を採択しました。
- 採決は賛成164カ国・反対1カ国(米国)・棄権6カ国で、日本は賛成に回っています。米国は決議を「イデオロギー的」と批判しました。
- 法的拘束力はなく、教科書や地図がすぐに一斉に書き換わるわけではありませんが、フランスなど移行を表明する国も出ています。
📌 出典:朝日新聞「『メルカトル図法の世界地図やめて』国連決議が採択、日本も賛成」(記事)、AFP「アフリカが大きく・米国は小さく 国連総会、地図移行促す決議案採択」(記事)、時事通信「アフリカ大陸、正確な大きさに 地図移行促す決議採択」(記事)ほか。本文中の解説・論点整理は当サイトが独自に執筆しています。
何があったのか
国連総会は現地時間9月4日、西アフリカのトーゴが提出しアフリカ連合(AU)が後押しした決議案を採択しました。長年、学校やニュース、地図アプリで使われてきた「メルカトル図法」の世界地図をやめ、大陸の面積比をより正確に表す「イコールアース図法」などの正積図法への移行を、加盟国や国際機関に促す内容です。
採決の結果は賛成164カ国、反対は米国のみ、棄権はウクライナなど6カ国でした。日本も賛成に回っています。決議に法的拘束力はありませんが、国連レベルで特定の地図の図法そのものが議題になるのは異例のことです。
朝日新聞も速報したように、この決議は各国の主要メディアが一斉に報じるニュースになりました。争点になった「メルカトル図法」は16世紀、大航海時代の欧州で航海用に考案された地図で、高緯度に近づくほど面積が実際より大きく表示されるという性質があります。北米や欧州、ロシアが実際より大きく、赤道に近いアフリカや南米は相対的に小さく描かれる仕組みです。
🎥 関連動画:メルカトル図法の世界地図はなぜ歪むのか
出典:まつおか秘密研究所/YouTube。サムネイルをクリックすると再生します(クリックするまで動画は読み込みません)。
これまでの経緯
- 2026年4月セネガルのNGO「Speak Up Africa」が、アフリカの実際の大きさを伝える「Correct The Map」運動を開始
- 2026年8月14日アフリカ連合(AU)が運動への正式な支持を表明し、国際機関へのイコールアース図法採用の働きかけを本格化
- 2026年9月4日国連総会で決議案を採択。賛成164カ国、反対は米国のみ、棄権6カ国
- 決議後フランスが図法移行の意向を表明。ほかの国・機関の対応は今後の判断に委ねられる
国連公式ニュースアカウントが投稿したこの採決結果は、スペイン語の投稿ながら日本語圏でも広く引用されました。「164対1」という数字がひとり歩きした形ですが、実際には棄権した6カ国の中にウクライナが含まれるなど、必ずしも「米国以外は一致団結」という単純な構図でもありません。
賛否が割れているポイント
👍 移行に賛成する主張
- 現行の地図ではアフリカ大陸とグリーンランドがほぼ同じ大きさに見えるが、実際のアフリカはグリーンランドの14倍もの面積がある
- 教育やメディアでこの歪んだ縮尺が定着すると、アフリカや南米を「小さく、周辺的な存在」と捉える無意識の偏見を助長しかねない
- イコールアース図法は2018年に考案された比較的新しい図法で、面積の正確さと見た目の自然さを両立させる設計になっている
👎 慎重・反対の主張
- 米国は決議を「イデオロギー的」であり国際平和の実現には資さないと主張し、唯一の反対票を投じた
- メルカトル図法は角度や方向を正しく保てるため、航海・ナビゲーション用途では今も実用的な図法である
- 決議に法的拘束力はなく、地図の縮尺を変えても各国の経済力や政治的発言力の実際の格差は解消されないとの冷めた見方もある
この投稿が的確に整理しているとおり、2つの図法はそもそも作られた目的が違います。メルカトル図法を「間違った地図」と断じるのではなく、「航海用の道具を教育やニュースにまで流用してきたことが問題だった」と捉えるほうが、今回の決議の狙いに近いといえます。
世界地図、実際の面積に近いイコールアース図法に変えるべきだと思う?
なぜここまで伸びたのか
この決議がこれほど話題になったのは、「164対1」という数字のインパクトが強烈だったからです。国際社会のほぼ全会一致に対し、超大国アメリカだけが孤立して反対したという構図は、地図という誰もが子どもの頃から見慣れてきた身近な題材と結びつき、直感的に理解しやすい"分断"の象徴として拡散しました。
日本のユーザーにとっても、実は他人事ではありません。メルカトル図法では日本列島も実際より小さく描かれており、過去に「日本の本当の大きさ」を可視化した投稿が繰り返しバズってきた経緯があります。今回のニュースは、そうした「見慣れた地図は実は歪んでいる」という感覚を、国際政治のニュースが裏付けた形になりました。
大手ニュースアカウントの投稿にも多くの反応が集まりました。「地図なんて今さら」という一見地味な話題が伸びた背景には、身近な常識が国際機関のお墨付きで覆るという意外性があったといえるでしょう。
まとめ
今回の決議は、500年近く世界の"当たり前"だったメルカトル図法の地図に、初めて国連レベルで疑問符が突きつけられた出来事です。強制力はないものの、164カ国という圧倒的多数が「面積の正確さ」を選んだという事実は、今後の教科書や地図アプリの表示にも少しずつ影響を与えていきそうです。
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