忌引き休暇に法律の規定はある?公務員と民間企業の違い
⚡ 結論だけ先に
- 忌引き休暇について定めた法律は存在しない。労働基準法に規定はなく、民間企業では就業規則で任意に定める「法定外休暇」。
- 国家公務員だけは人事院規則15-14で日数が明確に決まっている(配偶者・父母は7日など)。
- 会社に制度がなければ年次有給休暇(労働基準法39条)を充てるのが実務上の対応になる。
身内の不幸があったとき、「忌引きは何日休めるのか」「そもそも休む権利はあるのか」という疑問はQ&Aサイトで繰り返し聞かれている。多くの人は「法律で決まった休暇」だと思い込んでいるが、実際には民間企業と公務員でルールの根拠がまったく違う。
まず答え:忌引きは法律上の休暇ではない
労働基準法には、年次有給休暇(39条)・産前産後休業(65条)・育児休業(育児介護休業法)のような法定の休暇制度が定められている。しかし「忌引き」「慶弔休暇」という名称の休暇は、労働基準法のどこにも規定がない。身内が亡くなったときに休む権利そのものを、法律が直接保障しているわけではない。
民間企業の忌引き休暇は、会社が福利厚生として任意に設ける「法定外の特別休暇」にあたる。日数・有給か無給か・対象となる親族の範囲は、すべて各社の就業規則で決まる。一方、国家公務員だけは別で、人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)が忌引きを「特別休暇」として明文化しており、続柄ごとの日数まで具体的に定められている。
🔍 よくある思い込みと、実際のところ
根拠: 労働基準法(忌引きの規定なし)、人事院規則15-14「職員の勤務時間、休日及び休暇」別表第二(特別休暇)。
忌引きは「権利」ではなく「福利厚生」。それが、この疑問がずっと割れている理由だ。
なぜ答えがバラつくのか
1つ目は、公務員の基準と民間企業の実態が混同されていること。人事院規則15-14による公務員の日数(配偶者・父母7日など)がネット上でよく紹介されるため、それが法律上の全国共通ルールだと誤解されやすい。
2つ目は、多くの民間企業が人事院規則の日数を「準用」していること。厚生労働省のモデル就業規則にも慶弔休暇の記載例があり、これを参考に自社の規定を作る会社が多い。結果として「法律で決まっているような日数」が事実上の相場になっているが、これはあくまで各社が任意に採用した基準であり、法的な強制力はない。
3つ目は、忌引き休暇そのものがない会社が実在すること。零細企業などでは制度自体が未整備で、有給休暇や欠勤で対応するケースがある。「うちの会社にはなかった」という体験談と、「〇日休めた」という体験談が同時にネットに存在するため、答えが割れて見える。
判断の分かれ目
⚖ 続柄ごとの目安日数(人事院規則15-14に準拠した基準)
| 続柄 | 目安日数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 7日 | 人事院規則15-14 別表第二 |
| 父母(一親等の直系尊属) | 7日 | 同上 |
| 子(一親等の直系卑属) | 5日 | 同上 |
| 祖父母・兄弟姉妹 | 3日 | 同上 |
| 配偶者の父母 | 3日 | 同上 |
| 配偶者の祖父母・兄弟姉妹 | 1日 | 同上 |
| 民間企業での義務 | 法的義務なし | 労働基準法に規定なし。就業規則しだい |
見るところ: この日数は国家公務員の基準。民間企業では、これを参考にしつつ会社ごとに独自の日数を定めている。まず自社の就業規則を確認するのが最短ルート。
会社に忌引き制度がないときの動き方
📝 このとおりに動けばいい
- STEP 1まず就業規則の「休暇」の項目を確認する忌引き・慶弔休暇の記載があれば、日数・有給無給・対象範囲がそこに書かれている。
- STEP 2規定がなければ年次有給休暇の取得を申請する有給休暇は労働基準法39条で保障された権利で、理由を問わず取得できる。忌引きの制度が無くても、有給を使えば休むこと自体は可能。
- STEP 3有給が使えない・拒否される場合は相談窓口へ合理的な理由なく休暇取得を妨げられた場合は、労務トラブルとして相談できる。
相談先: 労働基準監督署の総合労働相談コーナー(全国の労基署内)、法テラス、都道府県の労働相談窓口。
あなたの会社に忌引き休暇の制度はある?
よくある質問
忌引き休暇は有給ですか、無給ですか?
法律の定めがないため、会社の就業規則しだいです。有給扱いにしている企業が多いですが、無給としても違法にはなりません。入社時や就業規則で必ず確認してください。
会社に忌引き休暇の制度がない場合はどうすればいいですか?
労働基準法39条にもとづく年次有給休暇を充てるのが一般的です。有給休暇は労働者の権利として法律で保障されており、理由を問わず取得できます。
忌引きの日数は何日が目安ですか?
国家公務員は人事院規則15-14により、配偶者・父母が7日、子が5日、祖父母・兄弟姉妹が3日などと定められています。民間企業に法的義務はありませんが、この基準を参考に就業規則を定める会社が多く見られます。
まとめ
忌引き休暇は、「法律で保障された権利」ではなく「会社が任意に定める福利厚生」というのが答えだ。公務員の基準日数がネット上の「相場」として広まっているだけで、民間企業に同じ日数を義務づける法律は存在しない。
まずは自社の就業規則を確認し、規定がなければ年次有給休暇という法律上の権利を使う。この2段階で考えれば、答えのブレは解消できる。
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📌 出典:労働基準法(e-Gov法令検索)、人事院規則15-14「職員の勤務時間、休日及び休暇」別表第二(人事院)ほか。 制度は改正されることがあります。最新の内容は各社の就業規則および所轄の労働基準監督署でご確認ください。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の労務相談にはあたりません。
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