有給休暇の時効は本当に2年なのか、労働基準法115条の答え

【実は】有給休暇の時効は2年、労基法115条の根拠
💡 答え合わせ / 図版:タネアカシ編集部

⚡ 結論だけ先に

  • 有給休暇の消滅時効は労働基準法115条により、付与された日(基準日)から2年です。
  • 2020年に賃金請求権の時効が5年(当分の間3年)に延びましたが、有給休暇の請求権はその対象外で、2年のまま変わっていません。
  • 使い切れなかった分は最大1年分だけ翌年度に繰り越せますが、2年を過ぎると消滅します。

「有給休暇はいつ消えるのか」という質問には、「1年で消える」「2年」「もう時効はない」など、まちまちな回答が付きがちです。実は答えは法律で明確に決まっており、しかも2020年の法改正の影響を受けていない、数少ない労働者の権利のひとつです。

はじめに: この記事は法令・厚生労働省などの公開情報をもとにした一般的な説明です。個別の事情によって結論は変わります。 実際の判断は労働基準監督署や、社会保険労務士・弁護士にご相談ください。

まず答え:有給休暇の時効は労働基準法115条の「2年」

労働基準法115条は「この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間(ただし当分の間は3年間)、賃金の請求権を除くその他の請求権はこれを行使することができる時から2年間行わない場合、時効によって消滅する」と定めています。年次有給休暇を取得する権利は「賃金の請求権」ではなく「その他の請求権」に区分されるため、付与された日(基準日)を起算点として2年で時効消滅します。

🔍 よくある思い込みと、実際のところ

思い込み残業代の時効が2020年に延びたので、有給休暇の時効も一緒に延びたはず
実際延びたのは「賃金」の請求権(5年、当分の間3年)だけ。有給休暇の請求権は対象外で、労基法115条の「2年」のまま
思い込み有給休暇には時効が無く、いつまでも溜め込める
実際労基法115条により付与日から2年で消滅する。繰り越せるのは最大1年分だけ

根拠: 労働基準法115条、労働基準法39条

有給休暇の時効は、2020年の法改正でも変わらず「2年」のままです。

なぜ「時効が延びた」という誤解が広まったのか

2020年4月の民法改正に合わせ、労働基準法も改正され、残業代など「賃金」の請求権の時効は2年から5年(ただし当分の間は経過措置で3年)に延長されました。しかし労基法115条は「賃金の請求権を除く」その他の請求権を明確に区別しており、有給休暇の請求権はこの区別により2年のまま据え置かれています。同じ労基法115条を根拠にした改正のニュースが、「有給の時効も延びた」という誤解につながったとみられます。

請求権の種類ごとに時効は違う

⚖ 請求権ごとの時効一覧

請求権の種類時効根拠
賃金請求権(残業代・給料など、退職手当を除く)5年(当分の間3年)労働基準法115条・附則143条3項
退職手当の請求権5年労働基準法115条
年次有給休暇の請求権2年労働基準法115条(その他の請求権)
災害補償その他の請求権2年労働基準法115条

見るところ: 「賃金の請求権」かどうかが、5年(当分の間3年)と2年の分かれ目です。

有給が消える前にやるべきこと

📝 このとおりに動けばいい

  • STEP 1自分の基準日を確認する有給休暇が付与された日がいつかを確認します。
  • STEP 2残日数を確認する給与明細や勤怠システムで、繰り越し分も含めた残日数を見ます。
  • STEP 3消えそうな分から優先して取得する2年を過ぎる古い分から先に使う計画を立てます。

相談先: 労働基準監督署の総合労働相談コーナー、会社の人事・労務担当

🎥 関連動画:年次有給休暇のしくみを学ぶ

出典:厚生労働省 / Ministry of Health, Labour and Welfare/YouTube。サムネイルをクリックすると再生します。

自分の有給休暇の残日数、把握していますか?

よくある質問

有給休暇の時効は本当に2年ですか?

はい。労働基準法115条により、年次有給休暇の請求権は付与された日(基準日)から2年で時効によって消滅します。

残業代の時効が延びたのに、なぜ有給休暇は2年のままなのですか?

2020年の法改正で延長されたのは「賃金」の請求権(残業代や給料など)だけです。労働基準法115条は賃金の請求権とそれ以外を区別しており、有給休暇の請求権は「その他の請求権」として引き続き2年のままです。

使わなかった有給休暇は買い取ってもらえますか?

原則として、在職中の有給休暇の買い取りは労働基準法違反です。例外的に、法定日数を超える部分や退職時に使い切れなかった分は、会社が任意で買い取ることが認められる場合があります。

まとめ

有給休暇の時効は労働基準法115条により2年で、2020年の法改正でも変わっていません。基準日と残日数を確認し、消滅する前に計画的に取得することが唯一の対策です。

関連記事:残業代の時効は何年か / 有給休暇の買取りは違法、例外は退職時だけ

📌 出典:e-Gov法令検索「労働基準法」第115条・第39条厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか」ほか。 制度の解釈は改正で変わることがあります。最新の内容は各機関の公表資料をご確認ください。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の法律相談にはあたりません。

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